チームを指揮した眞鍋政義監督は試合中、常にiPadを持っていた。画面に表示されていたのは、世界バレーのために特別に開発されたアプリ「Volley Pad」。「iPadのおかげで素早い判断ができた」――眞鍋監督は振り返る。
データ収集や分析に欠かせないのが、「データバレー」というWindows用ソフトだ。世界で多くのチームが利用するイタリア製ソフト。ボールのコンタクトごとにデータを入力し、選手別・ポジション別のアタック決定率や、サーブ、ブロックのパターン、レシーブの成功率などを瞬時に数値化・グラフ化できる(2004年の取材記事:メダル狙う全日本女子、“データバレー”の裏をかけ!)。
監督のiPadには、選手別のアタック本数や決定率、レシーブ本数、レシーブがセッターにきれいに返った率、サーブ、ブロック数などの数字が試合中にリアルタイムに更新され、目標数値とのかい離が一発で分かるようになっていた。PCの「データバレー」で解析した選手別の当日データを、世界バレーのために開発された専用アプリ「Volley Pad」の「画面共有」機能で共有していたのだ。
これらの問題を解消したのがiPadとVolley Padだ。iPadなら試合中ずっと持ち歩いても苦にならない大きさ・重さな上、Volley Padの表示はピンチアウトで拡大でき、細かいデータも読みやすい。監督はコートすぐ脇にとどまり、選手に指示を送りながら、データをリアルタイムにチェックできるようになったのだ。
Volly PadにはPDFファイル閲覧機能もある。事前に分析した相手チームの選手ごとのデータや、ローテーション別の攻撃パターン、試合直前に眞鍋監督が手書きで書き入れたデータなどを収録。作戦を確認したり、相手チームにメンバーチェンジがあったり場合に攻撃パターンを確認する――といったことも可能になっている。
バレー専用iPadアプリへの注目は高く、渡辺アナリストのもとには、Vリーグのチームの監督などから問い合わせが寄せられているという。加賀ソルネットの上村さんは、「商品として販売はしていないが、採用してもらえるなら、提供できるようにしたい」と話している。
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